残されたあたしも高畑くんも、何も会話を交わすことなくシーンとした空気が流れる。
あたしは、しばらくの間ちらちらと高畑くんを見ていたけれど、彼はあたしの方に一向に見向きもしない。
あたしだけが高畑くんを見ている、というのが変な気分になり、キャラメルのワッフルを眺め続けた。
「んっ!」
いきなり高畑くんは、キャラメルのワッフルを掴んであたしの口の中にぽいっと入れた。
「な、なんで?」
なんで、勝手にこんなことしちゃうの!?
これ、売り物なんだよ!?
いや、もう確実に売れないけど、だからって絶対に食べちゃいけないはずなのに。
「お前……キャラメル好きなんじゃねーの?」
案外呑気そうな彼。
えっ、そんなことあたしは彼に一度だって言っていないはずなのに。
「なんで!?」
「いや『なんで』って、ぼーっとしてる時に見てたから」
「って言っても、あたしが食べちゃったら、怒られるんじゃ……」
「まぁ、バレたら怒られるだろーな」
「ねえ! あたしが怒られるの狙って、こんなことしたんでしょ!」
「ガヤガヤうるさいっての。バレないようにしなきゃいいの。1個減ったって、気にしねーんだから」
いやいや、2つあったものが1つに減ってるってどう考えてもおかしいから……。



