「愛菜、何? どうしたの? まさか、また何か噂でも?」
だらだら汗を流した愛菜が、あたしの両肩をガシッと掴んだ。
「ゆりあ! あれでも結構人気なんだよ? 人懐っこい性格に任せて、あんまりベタベタしたら変な目で見られちゃうかもよ?」
眉間にしわを寄せて言う愛菜。
普段、おとなしくて笑顔な彼女なので、余計にそうなってしまうのかもしれないけれど、ちょっと言葉を詰まらせてしまいそうだ。
「別にあたし、ベタベタなんかしてないけど……」
「とはいっても、一応警戒心が大事だから!」
「う、うん……。わかった……」
まあ確かにそうだ。
少女マンガとかでよくあるよね、主人公の女の子が大人気の男の子と一緒にいて、他の女子から妬まれちゃうっていうやつ。
まあ、あたしは絶対に少女マンガみたいになりたくないけど。
あの人とは、まっぴらごめん。



