だけど、同時に凄く安心して。


ドクドクと心臓が騒ぎ出す音さえも心地いい。彼の心臓の音も伝わってきてふたつの音が溶けていくみたいだ。


余計な肉が全然ついていない引き締まった彼の体躯は硬くて頑丈そう。


それに胸からお腹にかけてのたくましい筋肉の、色香がすごい。


さっきまで見ていたけど、こんなに至近距離だと今頃になってときめいてしまう。


私は動けなくて、ぼんやりと、うっとりと彼の体温を感じていた。


すると彼が私を抱いたままプールからあがるために歩き出そうとした。


まだ、頭が変になっちゃいそうなくらいクラクラしてる。


「待ってまだ」


「え?」


「もう少しこうしてて。動いたら足が痛くて」


「そうか、ごめん……」


彼が下から覗き込んできた瞬間、私も彼の方を見たから顔と顔が近くなった。


あ、どうしよ、また。あの夜と同じ。


初めて会った日の夜、口づけを交わした瞬間のことを思い出した。


唇が、あと3センチの距離。


「玲生……くん」