今日から不良王子と同居します。

「ええっ、そんなことがあったの?」


話を聞いているだけで、震えあがってしまう。


きっと彼もすごく怖かっただろうな。


って、思ったんだけど、彼は淡々と話を続ける。まるでなんでもないことのように。


「金を準備したら許してやるって言うからさ」


「う、うん」


それでお金を渡したのかな。もし渡さなかったらどうなることか。想像しただけでも、恐ろしいよ。


「まあそれで、丁重にお断りし続けているうちにいつのまにかあの学校のカラーに染まっていったって言うか、郷に入っては郷に従えって言うじゃん」


「え?」


郷に……?全然、話が見えないんだけど。


「俺、ちいさいころから自分の身を守るための護身術は一通り習ってたし、それがおもわぬとこで役にたったって言うか、役にたち過ぎたって言うか」


「え、えーっとつまりは、玲生くんは先輩たちから喧嘩を売られるたびに、やり返したってこと?」


「まあ、そんなとこ」


彼はさらりと言ってごまかすようにニコッと笑う。


「……」


彼の話についていけない私は不安そうな顔をしてしまう。