自分よりも体の大きい先輩たちに臆することなく、冷たい表情ですごんでいた彼。
良家のお坊ちゃんのように気品ある風情で芸術的センスを見せる彼。
いったい、どちらの彼が本当の顔なのか、よくわからない。
不思議な人。
「美術の課題ならそんな、気の抜けたときの顔じゃなくてもっとちゃんとした顔でモデルになるよ」
「いつものすました顔なんかよりこっちのがいいじゃん。音葉さんのフワッとした魅力がでてるしさー」
そうかな、ただ単に眠そうにしている間抜け顔をしていたような気がするんだけどな。
「俺はこっちのが好きだな」
彼は自分の描いた絵を眺めて、ポツリと言う。
「……っ」
その後、こっちを向いた彼の瞳につかまって一瞬息をするのも忘れてしまった。
青く澄んだ彼の瞳が優しく笑いかけるから胸の奥がキュッとなる。
カッーと頭に血が上って、両手で頬に触れてみたら熱くなっている。
好きって、そんな風にサラッと言っていいものなのかな。
わー、どうしよ。こんな反応したら意識してるみたいに思われてしまうかも。
私ばっかり、過剰反応しちゃうのが恥ずかしいよ。
良家のお坊ちゃんのように気品ある風情で芸術的センスを見せる彼。
いったい、どちらの彼が本当の顔なのか、よくわからない。
不思議な人。
「美術の課題ならそんな、気の抜けたときの顔じゃなくてもっとちゃんとした顔でモデルになるよ」
「いつものすました顔なんかよりこっちのがいいじゃん。音葉さんのフワッとした魅力がでてるしさー」
そうかな、ただ単に眠そうにしている間抜け顔をしていたような気がするんだけどな。
「俺はこっちのが好きだな」
彼は自分の描いた絵を眺めて、ポツリと言う。
「……っ」
その後、こっちを向いた彼の瞳につかまって一瞬息をするのも忘れてしまった。
青く澄んだ彼の瞳が優しく笑いかけるから胸の奥がキュッとなる。
カッーと頭に血が上って、両手で頬に触れてみたら熱くなっている。
好きって、そんな風にサラッと言っていいものなのかな。
わー、どうしよ。こんな反応したら意識してるみたいに思われてしまうかも。
私ばっかり、過剰反応しちゃうのが恥ずかしいよ。



