「うん、わかった。安心して、お父様の代理として立派にお勤めをはたします」


おどけたように明るくそう言ったら父はアハハって笑ってくれた。


「音葉は本当にいい子だ。おかげで僕は安心して外で働くことが出来るよ」


「うん、頑張ってね」


本当はね、もっとわがままを言いたいけれど。


雷が怖い、こんな日は早くお父様に帰ってきて欲しい、もっと頻繁にうちへ帰ってきて私の傍にいて欲しい。


ちいさい子みたいに駄々をこねるわけにはいかない。


言い出したらきりがないくらいの本音。


だけど、私は我慢できる。


優しいお父様を困らせたくないもん。


お父様が望むようないい娘でいてあげたいんだ。


だから、雷くらい我慢して頑張らなきゃ。


そう思って自分を奮い立たせていたんだけど、嵐は予想以上に激しくて。


その後すぐに邸じゅうの電気が停電してしまって、私はパニック寸前に陥ったのだ
った。