「へ?」


「どんなキスされたら気絶なんてしちゃうんだ?」


そう言ってベットに腰を下ろす私の脇に手を伸ばす明日香ちゃん。


いたずらっぽい表情でコチョコチョくすぐってきた。


明日香ちゃんったらどうしてキスされたのがわかるんだろう。


だってそこまでは言ってないはずなのに。


「えっ、ちょっとどうして、キスのことが分かったの?」


くすぐり攻撃を身をよじって逃げながら、尋ねた。


「そりゃ、さっきから何回も唇を気にしてるみたいに触ってるんだもん、音葉はわかりやすすぎなんだよ。たぶん直政も気が付いたんじゃないかな」


うそっ、私ったら恥ずかしい。そんなにバレバレのしぐさをしているのかな。


「ど、どんなって普通よ、ふつう」


「あんたに普通なんてわかるの?初めてだったんでしょ?」


「う、うん」


はっきり言ってファーストキスだったから、あれがどんなレベルのキスなのかはよくわからない。


だけど、その記憶は鮮明に心に深く刻まれてしまっていた。


柔らかな熱い唇の感触、マシュマロみたいに。


彼のあの時の目線、私を求める怪しい色香に満ちたあの……。