今日から不良王子と同居します。

「まあまあ、ここで音葉を責めたって仕方がないよ。音葉だってそんなことになるとは思ってもいなかったんだから」


「だけど、そんな見ず知らずの男と」


忌々しそうに吐き捨てるような口調。


だけど、どんなに心配をかけてしまっているかわかっているから何にも言い返せない。


「星之坂工業の神崎玲生、あの有名な神崎グループの次男」


そうつぶやいた明日香ちゃんはスマホで検索をかけているみたいだった。


「うーん、たいしたネタはつかめないわね。ネットじゃ仕方がないか」


「音葉」


直政くんは切なげな表情で、私の両手を掴むと真剣な口調で話し出した。


「もうそんな高校に2度と行くんじゃないぞ」


「うん。ごめんなさい。直政くん、心配かけてしまって」


いつも冷静な彼にしてはこんなのは珍しい。


私が軽率すぎたんだ。


どんなに叱られても仕方がない。


「それから、その神崎玲生とかいう奴ともこれ以上関わるな」


「でも、私、お父様からくれぐれも彼のことを頼むと言いつけられているの。それに彼は私を庇おうとしてくれたのよ。少し癖があるっていうか変わってるけど、悪い子じゃないと思う」