今日から不良王子と同居します。

視界を遮られたその瞬間ドシンという音が聞こえる。


「キャッ」


「決まったー。玲生のフライングキック」


「相変わらず派手な奴」


玲生くんの友人たちが勝ち誇ったように話している。


私は、さっきの大男が地面に横たわっていることに気が付いて思わず悲鳴を上げた。


だけど、すぐに他の男子生徒たちが玲生くんにつかみかかっていく。


「お嬢様、玲生は大丈夫だから、お嬢様がいたらあいつを助けに行けないんだ。おとなしく車に乗ってください」


「は、はい」


蒼太くんにそう説得されて渋々車の前まで走り寄った。


今ここで私にできることなんて何にもない。ただ足手まといになってしまっているだけ。


「お嬢様、ご無事でしたか」


「川本さん」


車の外で青い顔をしながら待っていた川本さんが後部座席のドアを素早く開けてくれた。


「早く逃げましょう、こんなところにいてはいけません」


川本さんに押し込まれるように、やっとのことで車へ乗りこんだ。


バタンとドアが閉じられたけど、私は急いで窓を開けて必死で玲生くんの姿をさがす。


「お嬢様、大丈夫だよ。玲生は魔人並みに強いから」


「俺ら助けに行くよ」


「早く車出して、またね」


「お願い、玲生くんを助けてあげて、お願い、お願い」


私には彼らに必死で懇願することしかできなくて。