それを見計らったように川本さんが話しかけてきた。


「昨夜はその坊ちゃん、随分遅くまで華子さんにお説教されてましたからね」


「そうなのね、学校へ着いたら起こしてあげるわ」


「その件なんですが、お嬢様。星之坂工業と言えば札付きのワルたちが集まっている掃きだめのような高校ですよ。そんな場所へお嬢様をお連れするのは気が引けます」


川本さんは困ったような顔をしている。


「まあ、はきだめだなんて……」


「そんな高校に天下の神崎グループのご子息が通っているなんて、なんともおかしな話です」


「そうね、なにか事情があるのかな」


工業高校って言えばなにか技術が学びたくて通っているとかなのかな。


だけど、何かしら魅力がある学校だから選んだのかもしれない。


ふと気になってスマホで星之坂工業高校をネット検索してみた。


すると、あんまりいい評判があがっていないばかりか私には書いてある意味すら分からないことが多くて……。


不良とか、ヤンキーとか、耳慣れない言葉。


だけど、SNSで気になることが書いてあった。


普段から1年生グループと上級生グループとが対立していたそうだけど、昨夜ついに大規模な喧嘩に発展したとか。