今日から不良王子と同居します。

だけど、助けてもっらってこんなことを想うのもあれだけど、なにもあんなに強く投げ飛ばさなくたってよかったんじゃないかな。


グラウンドに大の字に横たわっていたサングラスの男を見たら、ようやくよろよろと起き上がるところだった。


よかった、ひどい怪我とかはしていなさそうだ。


直政くんは普段高校の部活では剣道部だけど、桐生家の英才教育を受けてあらゆる武道に精通している。


だから、彼が強いってことは昔から知ってる。


だけど、実際に技を使うところを見たのは初めて。


直政くんは普段から穏やかで理性的な性格なのに、こんなに喧嘩っ早いというか乱暴なことをするのが不思議でならない。


やはり今日の彼はいつもと少し違うのかも。


「音葉？大丈夫か？」


ぼんやりと、考え込んでいたら彼に肩を揺さぶられた。


「あっ、うん。びっくりして。あの明日香ちゃんは」


「明日香なら大丈夫。俺の助けなんていらないようだ」