「いや、男同士って照れくさくて、案外思ってることを素直に口に出せないもんだよ。
俺はたぶん音葉さんがついていてくれたから兄に正直に向き合えたんだと思うから」


「ほんと?」


「うん、今日だけじゃなくて音葉さんに出会って一緒に暮らすようになってからは、なんだか気持ちが穏やかになって自分自身の行いを考えなおすことが出来たような気がする」


そうなのかな、少しほめ過ぎなような気がするんだけど。


私、そこまで大したことはできていなかったような気がするし。


「私でも少しはお役に立てたのかな?」


「だってほら言ってくれたじゃん。俺の味方だから守るって。
嬉しかったな、あんな風に言われたら俺……」


彼はいったんそこで言葉を切って黙ってしまった。


「うん、味方だよ。これからもずっと」


無邪気にそう言いながらニコッと笑った次の瞬間、彼はそっと私の手を握ってきた。


「えっ……」


いきなりのことだったから、ドキドキと胸が鳴る。