お兄さんは玲生くんから離れずに彼の肩を抱いて、私に懇願してくる。


どうしよう、そんな真剣な顔でお願いされたら断れないよ。


玲生くんはまだ言葉が出ないようで、片手で顔を覆っている。


そんな彼を見ていたら、抱きしめてあげたいって思った。


がんばってたんだよね、玲生くん。


お兄さんに気づかれないように精一杯無視してつっぱねて。嫌な態度をとり続けていたけれど。


年相応の細い首も、まだすべてを背負うのは頼りない背中も。


玲生くんだって苦しんできたんだってわかった今。 


ギュッて抱きしめてあげたい。


こんなこと想っちゃいけないのかもしれないけど。