違う違う、あれは傷の手当てをしようとしただけ。


それが彼にとって誘われたって勘違いさせちゃった?ううん違う。私はそんなつもり一切なかったもん。


私が昨夜の行動にあれこれ思いを巡らして勝手にオロオロしていたら、ばあやがギッと彼を睨んだ。


「そんなことはありえません。うちのお嬢様に限って」


言い終わった後に額に手をあてて、ハーッて深いため息をはいている。


彼を相手にしたせいかちょっと疲れてるみたいで気の毒。


「この悪ガキ」


ばあやが、聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声でこっそりと悪態をつく。


悪ガキって……。


うん、それがピッタリあてはまるよ。


思わず笑っちゃいそうになったけど慌てて我慢した。


そしたら目の前の彼は、片方の眉をあげ、楽しそうにニッと笑ってる。