今日から不良王子と同居します。

でも、このままの距離感でいいわけないのはうすうす気が付いていた。


だから、またいつものように彼のペースにはまらないようにしなきゃって思って、この時真面目な顔で彼の手を軽く叩いて跳ねのけた。


「玲生くん、ちゃんと私の話を聞いて」


いったん言葉を切って少し強めに彼に告げた。


まるで彼のお姉さんにでもなったような気持ちで説得にとりかかる。


「うちの母はね私が10歳の時に亡くなったの。だけど、生きていたら何歳になるだろうって今でも誕生日が来ると数えてるんだよ」


「……」


「玲生くんのお母さんは元気に生きてて毎年年を重ねることが出来る。
それがどんなに幸せかなことかって、私にはわかるよ」


「そういう話をここで持ち出してくるなんてズルいよ」


ちょっと拗ねたように唇を尖らせる彼。


だって本当にそう思うんだもん。


お母さまが生きていたら、今年で何歳になっただろう。
受け取ってくれるはずもない誕生日プレゼントを私と父はいまだに準備している。