今日から不良王子と同居します。

だからこれでいいんだって、改めて思った。


「なあ、ところでさ」


「ん？」


「今日あいつはまだ帰ってこないの？」


「あいつって玲生くんのこと？」


玲生くんの名前を出した途端、彼の瞳が鋭くひかる。


「ああ、ばあやさんの話だとあいつはこの邸の中では音葉とはあまり顔を合わせることはないって聞いたんだけど、本当にそうなのか？」


「え？」


そうか、ばあやはそんな風に直政くんに言ってくれていたんだった。


私も話を合わせよう。


「うん、そうだよ。彼のお部屋はここから一番遠いところにあるし、ばあやからも彼とはあまり親しくしてはいけないって言われてるから」


この間、ばあやに嘘をついた時と同じような感じで私の口はスラスラ答える。


「……」


だけど、直政くんは怪訝そうに私を見つめ返している。


どうしよう、あんまり信じてもらえていないような気がする。


やっぱり、ばあやとは違って直政くんの方は一筋縄ではいかないのかも。


「彼はこの部屋には来たことはない？」