今日から不良王子と同居します。

彼ときたら、ドキドキするくらいにこちらを真っ直ぐに見つめてくる。


「こんなに美しい人と一緒に暮らせるなんて楽しみだ」


「えっ……」


びっくりした。


(美しい)だなんて、単語がサラッと口に出る高校生男子なんているんだ。ちょっと気障すぎない?


「楽しみってなにが?」


「まあいろいろとだよ」


「あ、あのどうして私にあんなことしたの?」


「え、キスのこと?」


「……うん」


やっぱり気になってしまって尋ねていた。


べつに、なにか特別な答えを期待していたわけじゃないけど。


「美女にキスして欲しいって目でおねだりされたら断れないからね、男としては」


そう言って、綺麗にウィンクを投げられたので絶句してしまう。


「なっ」


ダメだ、一体どこから突っ込めばいいのかわからない。


まるで、私のほうから誘ったみたいな言い方をするから驚いた。


やっぱり尋ねるんじゃなかった。


しかも少しも悪びれる様子もない。


「でもこんな綺麗なお嬢様と毎日一緒に暮らすなんて俺の身が持たないよ」


「そんなこと言わないで。……年上をからかっちゃだめ」


なんとか言い返したつもりだけど、恥ずかしくて語尾が小さくなる私。


オホンオホンとばあやの咳払いが聞こえて、ハッと我にかえった。