「チャンスだなんて、明日香ちゃん」


「ま、私のことは気にしなくていいからさ。何か困ったことがあれば相談に乗るから。いつでも言って」


ケロッとしたような顔でそう言って軽くウインクした明日香ちゃんは、お弁当を持ってほかのグループの女の子たちの方へ歩いて行った。


はあ、よかった。明日香ちゃんがさばさばした性格で。


私と直政くんとのこともよくわかってくれているみたいで助かるな。


それにいつでも相談に乗ってくれるって、なんて心強いんだろう。


甘えてばかりじゃいられないけど、明日香ちゃんはほんと頼りになる。


明日香ちゃんの後姿をぼんやり見ていたら、後ろから声をかけられた。


「音葉、そろそろカフェテリアにいこうか」


振り返れば、直政くんが照れ臭そうに立っている。


「うん、いこっか」


「明日香、怒ってなかった?」


直政くんも明日香ちゃんの方に気遣うような視線を向ける。


「大丈夫だよ。明日香ちゃんはこんなことで怒ったりしないから」


「そっか。なんか悪いな。けど、昼休みくらいは音葉を独占させてもらいたいから」