今日から不良王子と同居します。

あ、いけない。見惚れている場合じゃないんだった。


「じゃあ音葉さんって呼ぶよ」


玲生くんは、ばあやにひるむ様子もない。


「あの、神崎さま、昨日はよく眠れましたでしょうか?先に休んでしまい失礼いたしました」


丁寧にかつ慎重に昨夜のことを尋ねた。


「ぐっすり眠れたよ。音葉さんのおかげで」


彼は意味深にクスッと笑う。


なんとなく、彼が私の唇に視線をやっているみたいに見えるから恥ずかしい。


意識したらダメ、できれば昨夜のことは気にしていないって余裕の態度でいたい。


「音葉さん、ほんとに綺麗だな。天使みたいだ。その制服よく似合ってるね。まるで君のために作られたみたいな服だ」


歯の浮くようなセリフをサラッと言われあ然。


私の制服は確かに可愛いと評判のセーラー服で世界的にも有名なデザイナーが手掛けたお洒落なデザインだ。


それにしても周りにはばあやや、メイドさん達がいるというのによくこんなことを言えるもんだな。


「は、はあ」