「う……ん」
さっき声をかけられたような気がした時からすぐに目を開けたつもりだったけど、朝の光が窓のカーテンの隙間から差し込んでいた。
うそっ、結構時間が経っていたのかな。
え、やだ。私あのまま眠ってしまったの?
「まって、うそ、そんな……」
自分のものとは違うもうひとつのぬくもり。
その信じられない光景に息を呑む。
光沢のある漆黒の髪、透けるような白い肌、彫刻のような端正なそれでいてあどけない寝顔。
う、うそ。
ベッドの隣に眠る玲生くんを見てサーッと血の気が引いていく。
なにこれ、どうして一緒にベッドで眠っているわけ?
しかも、私の腕の下に彼の頭が乗っている。
うっ、腕がしびれてるんだけど。
どうして、私が彼に腕枕なんてしちゃっているんだろう。
ダブルベッドなんだけど、割と密着して眠っていたみたいで、状況を理解していくにつれだんだんと胸がドキドキしてくる。
とりあえず、私の腕を彼の頭の下から引き抜いて自分の部屋に戻ろう。
彼のことは起こさないように。



