今日から不良王子と同居します。

ちょっと、おどおどしながら。


「おはようございます」


「ああ、音葉、おはよう」


爽やかに笑いながら挨拶する彼を見て一瞬息を呑む。


出会ってまもない男の人からこんな風に呼び捨てにされるのなんて初めてで気恥ずかしい。


それに、昨日は暗かったから気がつかなかったけれど、明るいところで見たその姿に目を奪われる。


朝から一服の清涼剤のよう。


サラサラの漆黒の髪に、陶器のような白い肌、高い鼻筋に意志の強いブルーアイズ、薄く形のいい桜色の唇。


気品のある佇まいは確かに彼の血筋の良さを証明しているかのようだ。


それに今時のお洒落な男子っぽく、片方の耳にピアスをつけていて制服はゆるく着崩している。


あ、ピアスの色が瞳の色と同じ、もしかしたらブルーサファイアの宝石かもしれない。


とても優雅で綺麗。


彼に凄く似合ってる。


「まあっ、呼び捨てにするなどいけませんよ。音葉お嬢様とお呼びくださいっ」


私がぼんやりと見惚れていたら、
ばあやがすごい剣幕でよこやりをいれてきた。