今日から不良王子と同居します。

ばあやは私に対して少し過保護なところがある。


私は10歳の時に母を病気で亡くしているから、ばあやは母親代わりみたいなところがあって。


しっかりしたレディに育てなくてはって人一倍礼儀作法なんかにもうるさい。


そんなばあやの教育に、たまには反発したくなるけど、基本的には大人しく従っていた。


だって、お母さまが亡くなってからはばあやのことを、本当の母のように頼りにしていたから。


少しくらいうるさく言われても、全部私のことを思ってくれているんだってわかるから。


だけど、昨夜の彼に対して私が恋心を抱くなんて心配のしすぎだよ。


まあ、私が世間知らずなのは確かだけど。


だからって、まさか。


年下だよ、相手は。


それに、私はまだあんまり恋とか愛とかに特別関心が強い方じゃないんだよね。


だけどまた無意識に唇に手を当ててぼんやりしてしまった。


彼のあの冴え冴えとした優雅な瞳と柔らかな唇の感触と、そして血の匂い。