「さあて、ようやくみんな解散してくれたね。音葉、もう大丈夫だよ」
「音葉さん、いつまでそうやってるんだよ、さあ立って」
クックッと小さく笑う玲生くんが心の底から、恨めしい。
私は正門横でしゃがみこんで顔を覆っていた。
恥ずかしくて恥ずかしくて穴があったら入りたいレベル。
「うう、私ったらなんであんなこと言っちゃたんだろ。まるで彼女みたいにふるまってしまって」
「俺のことを助けようとしてくれたんだろ?」
「うんそうよね、そうなんだけど……恥ずかしくて」
ようやく、顔を上げてあたりを見たらさきほどの女子集団たちはみんないなくなっていた。
玲生くんはからかうようにわざとらしく肩をすくめる。
「天然ってこわいよなー」
それに対して、明日香ちゃんが呆れたように彼に言い返した。
「こら少年、純真無垢な年上をからかうんじゃないぞ。さっきはわざと音葉を挑発してたんでしょ?」
「そんなことはないですよ」
玲生くんは平然と明日香ちゃんに答える。
「ほら、音葉さん、立って」



