今日から不良王子と同居します。

やだ……玲生くん。


こんな光景、見たくない。


その時、私の中で軽く何かがはじけ飛んだ気がした。


「玲生くん、お待たせっ」


気が付けば、私は凄い勢いで玲生くんと彼女の間に割って入っていた。


「早く帰ろう、今日は私とデートする約束でしょっ。さ、行こう行こう」


顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけど、どうしてもほかの女の子が彼に群がるのが耐えられなくて。


彼女たちは驚いたように私を見て、ちょっと残念そうな表情を浮かべている。


「3年生の音葉さんよ。あんな綺麗な人が彼女なんだね」


「えー悔しいけど、美男美女」


「なんだつまんない、もう行こう」


眉をひそめてコソコソ話しながらようやく解散していく女の子たち。


私はというと、頬をぴくぴく引きつらせながら、この状況が一刻も早く終わりますようにって願っていた。


あんまり興奮していたせいか記憶が定かではないほど。


この時の一部始終を見ていた明日香ちゃんにこの後1週間ずっとネタにされるくらい私は必死な形相だったらしい。