今日から不良王子と同居します。

直政くんの冗談にクスクス笑う。


私に尋ねてから、直政くんはスマホでお店の検索を始める。彼は人脈があるからいろんな美味しいお店にも詳しい。


「私は魚がいいんだけどな―」


「えー、肉でいいだろ?」 


明日香ちゃんに言われて直政くんは困ったように眉を下げる。


「いっつも音葉の意見ばっか聞いて。結局、直政は音葉に甘いんだから」


「そりゃ婚約者なんだし音葉を優先するだろ」


そう言ってこちらを見る彼と目が合ってドキッとした。


普段は自分からこんなこと言う人じゃないのに。婚約者ってワードをことさら口にしたりもしないはずなのに。


私を特別扱いするようなセリフ、ちょっと胸がくすぐったい。


「あーあ、私も彼氏つくろうかな」


明日香ちゃんが恨めし気に直政くんをにらんで、愚痴を言うから笑ってしまった。


「わかったよ、肉も魚もうまい店探すからさ。明日香が拗ねたらしつこくて困る」


やれやれって感じで表情を崩す直政くん。


満足げにうふふって笑う明日香ちゃん。


私だってもちろん楽しくてニコニコしてそんな二人を見つめた。