「うん、わかってる、そうするね」


さっきのお兄さんの話を聞いたから、大体そんなことかなって思ってた。


いつのまにか、私は彼の手にそっと触れていた。彼の長い指がピクリと反応する。


「大丈夫だよ、私は玲生くんの味方だからね。なんにも心配いらないから」


なぜだろう、どうしても励ましたくて。


でも、手を握ることまでは恥ずかしくてできなかった。


彼のお兄さんが弟に言ってしまったていう暴言がどうしても許せなかったていうのもある。


気が付いたら、私はなんども繰り返し呟ていた。


大丈夫だよって、私は味方だからって。


何度も何度も、本心から、心を込めて繰り返していた。


目の前の彼は、目を見開いてまばたきをする。そのたびに長い睫毛が綺麗に揺れる。


「お兄さんのことは、全部私が対応するから任せて」


「……ごめん、こんなこと頼んで……」


申し訳なさそうに言った彼は、安心したようにフウッて息を吐く。


「ううん、いいの大丈夫だよ」