今日から不良王子と同居します。

「いいえ、聞きたくなんてありません。あなたに玲生くんの居場所が伝わっていなかったのなら、玲生くんはあなたには会いたくないってことでしょ。
私が勝手にあなたを我が家へ迎えることなんてできませんから」


「あ、あの、少し落ち着いて」


彼は私をなだめるような口調になった。でもそれは火に油を注いだだけ。



「は？落ち着いてますよ私。とにかくあなたに玲生くんは会わせられませんので」


「音葉さん、あの…違うんです、僕は」


「失礼いたします」


完全に頭に血が上っていた私はもうこれ以上彼と話したくなくて電話を切ってしまった。


今からこっちへ来るなんてとんでもないよ。


絶対、そんなことダメ。


そうだ、玲生くんのお兄さんって言ってたけど本物かどうかもわからない。


ううん、むしろ偽物の方がいいくらい。


だってさっきの話が本当だったら。


もしさっきの話が本当だったら、ひどいよ、そんなの。


玲生くんがそんな風に追い詰められて、家を出て来たってことになるから。


どうか、嘘であってほしいって思ってギュッと受話器を握りしめる。


ガチャ