「何て冗談ですよ。」そう言いかけた時だった。
「’デート’と言う言い方は気に食わんが…
1日位君に付き合ってもいい。人に借りを作るのは苦手だ」
意外な事を口にするのだ。冗談で言ったつもりだったが、まさかこんなチャンスが…。
立ち上がり、思わず樹くんに抱き着く。すると彼は迷惑そうな顔をして、私の体を引き離した。
「だからッ君は近いんだよ、距離が!」
「だって超嬉しいんですもんー。夢のようですー!」
「デートはデートでもこの間の夜のような事はしないからな?!」
「えぇー?何でですかぁ?樹くん私の大きなおっぱいお気に入りだったじゃないですかー?!」
「恥じらいをもっと持て…!
全くあの夜君を抱かなければ…こんなにしつこくされる事もなかっただろう。
あの日を後悔している…」
「私はあの日が運命の始まりだと思っています…!」
「だからどこまで君はポジティブなんだ…!
こんなに!
俺が!
君を!
細胞レベルで拒否している!」
「嫌よ嫌よも好きのうちと言うではありませんか!」
「だーかーらぁ…」
樹くんは再び頭を抱えだしてしまったけれど、私はとても幸せだった。
幸せで、今にも空へ飛んでいけそうな程。
けれどもスキップをしながらリビングへ行って、壁に立て掛けられた立派な時計を見て真っ青になってしまった。
現在の時刻午前9時15分前。 今日は9時から仕事が入っている!



