はぁーとわざとらしい様なため息を吐いて、樹くんはベッドに腰を降ろした。
怒られるとばかりに思っていた私は、きょとんとした顔をして横に座る樹くんの横顔をそぉーっと覗きこむ。
「陽向いわく、君にそそのかされたそうだ。」
あのクソガキ!自分だってめいっぱい楽しんでいた癖に!
まだゲームもしたいしお菓子も食べたいと散々駄々をこねた癖に、責任は全て私へ擦りつけおった!
けしからん!非常にけしからん…!
「まぁ陽向も一緒に楽しんでいたのだろう。
あの様子を見れば分かる。」
しかし樹くんは意外な言葉を口にした。
「帰って来て早々あの荒れ果てたリビングを見て陽向の部屋に来たら
君と陽向が仲良さげに寝ていて、安心した。
あの子はどこか昔から子供らしくないと言うか、女性があまり好きじゃないみたいだから心配していた所だ。
その陽向がどうやら昨日は楽しかったらしい。朝からカレーを食べながらそれはそれは楽しそうに君の事を話していたんだ」
「ほう……」
何だあいつ、やっぱり素直じゃないなぁー。
可愛い所あるじゃんかね。もっと素直にお姉さーんって懐いてくればいいものの。
「あいつは馬鹿だ。とか
料理は下手糞でカレーしか作れないとか。
ゲームのセンスはない。と言っていたな」
前言撤回よ。やっぱりクソガキはクソガキのままだった。
23歳の大人がたかが7歳の子供にこんなに馬鹿にされるとは…。



