誤魔化すように笑うと、樹くんは私のワンピースの胸元を閉めるように上げて
私の顎を片手で掴んだ。

キュン。顎くいッなんてときめいてしまいますわ。

朝からそんな気分になるなんて……さぁ私の受け入れ準備はいつだって完了ですよ。
ん~っと唇を突き出すと、それは指で弾かれた。

「何を勘違いしている…。
今日は学校だというのに夜遅くまで陽向にゲームをさせたな?!
それにお菓子までどこから取り出したのか知らんが!」

「あ。お菓子なら棚の高~い場所に隠してあるようにありました。
全くもうあんな高い場所に置かないで下さいよ。チビひなた程ではないけれど私だって小さいんだからッ」

「ああ、それはすまなかった。」

「本当に気をつけて下さいよ。樹くんはそりゃ背が高いから少し手を伸ばせば届くかもしれないけれど」

ベッドから立ち上がろうとしたら、首ねっこを猫のように掴まれる。
きゃー?!そういう乱暴なプレイ?!そういうの、嫌いじゃないけど!

「そうじゃねぇ…!何で俺が謝らないといけないんだ。
家では平日はゲームはさせない決まりになっている。それに虫歯になるから夜はお菓子は禁止なんだ。
それだと言うのに君は……」

じりじりとこちらへ近づいてくる樹くんは明らかに怒っていた。
ひぇ…!証拠隠滅所かこんな時間まで眠ってしまうなんて…!