雨は降っていないというのに、その朝雷は私の頭に落ちた。

「おい、」

「んーむにゃむにゃ。いつき…くん」

「おいってば!!」

「やぁーん、そんな所触っちゃって~むにゃむにゃ」

「永瀬ひなた!!!!」

「は、はひ!!!」

フルネームで名前を呼ばれ、慌てて飛び起きるとそこには……。

「樹くんッ!」

大声でその名を呼ぶと、彼は片目を瞑って眉をしかめ指で耳を塞いだ。

「何故君は寝起きからそんなに声が大きいんだ」

「おはようございます!!」

「だから!俺の耳が壊れる!」

寝起きからまさか樹くんの美しい顔を拝めるとは、こんな幸せな事はございません。

そして目の前で仁王立ちをしている彼は、いつものキチっとしたスーツ姿ではなくパジャマ姿だった。頭にはちょこっと寝ぐせ。

ああ…素敵な人はどんな格好をしていようと、寝ぐせはあろうとかっこいいのですね。彼のこんな姿を見れる日が来るとは。


飛び起きた私を凝視した後、樹くんは顔を少し赤くし視線を逸らした。

目線を下に下ろすと、シフォンのワンピースの胸元はぱっくりと開いており大きな胸が今にも零れ落ちそうだった。

あらら、照れちゃった…。