それが私に向けられた物じゃなくってもいい。 やっぱり私はあの人が好きだ。この気持ちは子供が居るとか、奥さんが居たとか、そういった物では変わりそうもない。
「デカひなた、ゲーム超下手糞だなぁ」
「ちょっと!少しは手を抜いてよッ?!
あーーーまた負けたぁ!!」
お風呂から上がって、チビひなたと一緒にゲームをすると、何故か私の方が夢中になってしまった。
負けても負けても何度も粘る私に半ばチビひなたの方が呆れ気味で。
樹くんがキッチンの奥に隠していたポテチやチョコレートを食べながら、何とも穏やかな時間が流れる。
「おやつはおやつの時間しか食べちゃいけないんだよぉ?」そうチビひなたは言っていたが、口元がニヤリとしながら何とも嬉しそうだった。
きっときっとこんな事がバレたら、樹くんに怒られちゃうのは私なんだと思うけれど……。
一緒に遊んでいるうちにチビひなたは無邪気な笑顔を見せてくれるようになった。
「わーい。又僕の勝ちぃ!!」
両手を上げてガッツポーズをするチビひなた。
大きな瞳に澱みはなくって、キラキラとさせて
肌はマシュマロみたいに柔らかそうで透き通っている。 その笑顔が可愛くって思わず頭を撫でると、サラサラの黒髪が指をすり抜けていく。
「はいはい、私の負けです。
チビひなたには敵わないなぁ~」
「あったりまえだろー。お父さんも僕とやっても全然勝てないの。
ねぇデカひなた。次はこのソフトしたい。」



