【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー


「ふん。お父さん目当てのくせに」

ぎくり。
それは否めないが…。

でも私だってまさかこんな子供をダシにしてまで樹くんに近づこうとしちゃいないよ。

彼が子持ちだったのは正直驚いたけれど、それでも好きな気持ちがなくなった訳じゃないけれど。

でも樹くんが誰とも付き合わない理由は…少しだけ分かった。

「お父さんは面食いだからお前じゃあ無理だろう」

このクソガキ。
やっぱり生意気。カレーを食べ終えたチビひなたは牛乳を飲みながら満足そうにそう言った。

「あーはいはい。そうですねぇー。でもね、チビひなた!人生は何が起こるか分かっちゃもんじゃないのよッ?!
さ、お湯はためておいたからお風呂に入ってきな。
私アレがやりたいの。
お風呂から上がったらチビひなたも一緒にやろう?」

大きなテレビ台の下にはゲーム機が収納してあった。
私は持っていない。ゲームソフトも沢山。さすがはお金持ちの子供。
けれどそれを言ったらチビひなたは驚いた顔をして、眼を丸くした。

「でも、ゲームは金曜日と土曜日しかしちゃいけないってお父さんが…」

「だからこれは私とチビひなたの秘密だよ?」

「いいの?」

やっぱり子供。ゲームの話をしたら眼をキラキラとさせる。

別にゲームで子供が釣れるとは思っちゃいない。 けれどチビひなたは大慌てでお風呂場に行った。

ゆっくり温まるんだよ?と言う私の話も聞かずに。