「あのさぁー…さっき言ってた事…」
チビひなたが遠慮がちに何かを口にしようとする。
「さっき言ってた事?」
「デカひなたもお父さんとお母さんが死んじゃったって」
こんな小さな子供でも悲しい遠慮をする。
その優しさに心がほっこりして、チビひなたのほっぺたについたご飯粒を取りながら話した。
「うん。私の両親も私が4歳の時に交通事故で死んじゃったんだ。
お姉ちゃんは小さすぎてあんまり覚えていないんだけど、悲しくって毎日泣いていたよ」
「…僕のお母さんも僕が5歳の時に病気で死んじゃった…。」
そうなんだ。病気だったんだ。お母さんの話をする時のチビひなたは生意気な口調なんかじゃなくって、普通の7歳の幼い男の子だった。
それがまた切ない。
「でもね、お母さんはチビひなたの事をずっと見守っているんだよ?」
「そんなの嘘だ!」
「本当だよ。死んじゃった人は鳥になったり蝶になったりお星さまになったり
どんな時でもお母さんはチビひなたを見守ってくれているんだよ。
それにチビひなたにはお父さんもいるし、おじいちゃんも居るしね。
誰だって側にいつも誰かが居て、一人ぼっちなんて事はないんだから」
「…デカひなたにも居るのか?」
「私にもおばあちゃんがずっと一緒に居てくれたよ。1年前に死んじゃったけどね。
でも私は、この世界に居る限り絶対に一人じゃないの。
今日はチビひなたにも出会えたしね~」



