【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー


だから口の減らないガキだ。最近の子供ってこんなに生意気なんだろうか。そんな事を考えながら、じゃがいもの皮をピーラーで剥いていく。

それにしても、キッチンもごちゃごちゃしている。

シンクには洗っていないお皿が溜まっていて、広いキッチンの掃除は明らかに行き届いていない。

けれども立派な料理器具が揃っていて、カントリーちっくな食器も可愛い物ばかり。…きっと奥さんが居た頃に買い揃えられた物だろう。

ふと戸棚に入っていた夫婦茶碗に胸がズキズキと痛む。 その横にはチビひなたようであろう、可愛らしいクマさんの絵柄がついた食器たち。

「はーい、出来上がったよぉ。おかわりもあるからいっぱいお食べ~ッ」

「…いただきます。」

訝し気な顔をしていたけれど、よっぽどお腹が減っていたのかチビひなたは大慌てでカレーを食べ始めた。

スプーンを持つ小さな手。柔らかそうなほっぺたとサラサラの髪の毛。

大人しくしていれば、ただの可愛い子供なのに。 おーおー慌てて食べるもんだから米粒をほっぺたにつけて、そういう所はまだ子供だなぁ…。

そう思ったらくすりと笑みが零れ落ちた。

「美味しい?」

「カレーを不味く作れる奴がいるか」

「何よぉ。素直に美味しいって言えばいいのに。」

「デカひなたは食べないのか?」

「私…食べていいのかな…?」