「おい、デカひなた!ご飯!」
「あー、はいはい!今行くからねぇ!」
ご飯を食べさせるとは言っても…私は余り料理が出来ない。
大きな冷蔵庫を前にウーンと頭を捻る。急かすように冷蔵庫からピーピーと’開いてますよ’とお知らせが鳴る。
悩む私を見上げたチビひなたは、口をへの字にして言った。
「まさかお前料理出来ないとか?
あんな偉そうな事を言っておいて?」
「じゃがいもと人参っと。
今日はカレーだよ?」
両手に人参とじゃがいもを持ってチビひなたへ笑顔を作ると、口を歪ませて大きな目を細めた。
「お前の事だからどうせカレーしか作れないんだろう」
ぎくり。
なんつー…勘の鋭いガキだ。
確かに私はカレー、シチュー、肉じゃがしか作れない。
ほぼ材料が同じの定番料理。だっておばあちゃんが生きていた頃はおばあちゃんが作ってくれた美味しい料理を食べていたし
東京に上京して一人暮らしを始めてからも、もっぱらコンビニ生活。料理器具なんてほぼ揃えていないし、実は家には炊飯器さえない。
呆れた顔をして、冷蔵庫の前背伸びして牛乳を取り出したチビひなたはため息をつきながらソファーに戻って行く。
「カレーはお嫌い?!」
「別に嫌いじゃない。さっさと作れよ。僕はお腹が減っているんだ」



