「元々はおじいちゃんの建てたお家なんだって。
おじいちゃんは今は彼女が居るからマンション暮らしだけど」
「…おじいちゃんもお金持ちなのねぇ…」
「おじいちゃんはさっきのビルのオーナーだよ。」
それってけた違いのお金持ちじゃないか。
幾ら樹くんが事業成功しているって言ったって、まさかあの若さでこんな一等地に大きな家を構えすぎるには大きすぎると思った。
「デカひなた!早く来いって。僕お腹減ってるんだ!」
「あーはいはい。ちょっと待ってね」
男所帯だからだろうか。
外観は大きく綺麗なお家は、中はごちゃごちゃしていた。
家具などは高そうな物が揃えられているけれど、洗濯物はソファーの上に積み上げられていたし、豪華な大理石のテーブルには書類の様な物がごちゃごちゃと散らばっている。
おじいちゃんはマンションに居ると言っていた。つまりはチビひなたと樹くんの二人暮らし。そして社長である彼は大忙しだろう。
広いリビングの一角には、白いチェストがあってその上だけ綺麗に片付けられていた。元気が出そうなビタミンカラーのミニ向日葵のお花が飾られており、その上にいくつかの写真立てが並ぶ。
そこには今より若い樹くんと今より小さいチビひなた。そして彼の奥さんであろう人が微笑んでいた。
胸がちくりと痛んだけれど、キッチンからチビひなたが私の名前を呼んだ。



