「あんたの事よ。私もひなたなんだからややこしいでしょう?だからあんたはチビひなた」

「子供扱いをするな!」

「うるさい!子供の癖に!
ね、樹くん駄目かな…?あの…やましい気持ちは一切ございません」

いや…ほんのちょっぴりあるけれど。彼の生活スペースを覗き見したいっていう野次馬的な。
でもそれ以上に我慢ばかりしてしまう小さな子供の気持ちが心配だった。

「私チビひなたにご飯も食べさせるし
それにさっき友達になったばかりだし!」

「お前となんか友達になってない!チビひなたって呼び方はやめろ!」

チビひなたは何やらギャーギャー騒いでいたが、樹くんはうーんとその場で考える素振りを見せた。

「私、全然怪しい者ではございませんッ!
マーメイドの代表の事を樹くんは知っていると思うし、もしあれならば身分証明書も預けておきますから!」

散々渋ってはいたが、携帯の着信音が樹くんを急かす。
よっぽど大切な仕事が入っていると見える。
彼は観念したように頭を深く下げて「今日1日だけお願いできますか?」と敬語で言ってきた。

「勿論ですッ!樹くんは仕事をしてきて!」

「すまない。君にこんな事を頼む羽目になるとは……。
陽向は君よりもしっかりはしているとは思うが、何分まだ幼い子供で…。
よろしくお願いします」