パシャッとカメラのシャッターが切られた音と同時に、彼の大きな瞳がゆっくりと開かれる。私は下着すら付けぬまま大股を開いて、身を斜めに傾けて満面の笑顔でカメラを構える。その反動でぷるんと胸が揺れる。何とも間抜けな姿に見えたに違いない。

私とした事がこれから大恋愛をくり広げる彼に対し、いいや…未来を共にするであろう結婚相手に対してなんたる失態を…。

「何を…やっている…」

しかし当の本人はくすりとも笑いもせずに、無表情のままこちらを見つめる。

「い、いぇーい!」

舌を出して顔の横でピースサインを作っても、彼の冷たい視線が投げかけられるばかりだった。

無表情のままふいっと視線を逸らされて、枕元にあった携帯を手にした彼が時刻を確認すると慌ててベッドから飛び起きた。

「うわッ。俺寝ちゃったのかよ…。最悪…」

「お疲れのようでしたので、ゆっくりと寝かせてあげました!」

敬礼のようなポーズを決め、てへっと再び舌を出しておどけて見せたら、彼はまじまじと私を見つめて再び冷たい視線を投げかける。

あれ?滑ってしまいましたの?笑ってよぉ…。素敵な笑顔を持っているのは知っているのだぞ?!

笑え笑え笑え、心の中で念を掛けていたら彼は冷めた口調で言った。

「ところで君はそんな馬鹿な格好で何をしているんだ?」

「へ…?」

そんなぁー…今から彼女になる人に何て厳しいお言葉。
まぁ、そんなあなたのドSな所も大好きです。