「一緒に暮らすのは許すよ。だからデカひなたをおろせってば!」
「ね、樹くん。チビひなたもこう言っているし、おろして?」
そう言うと、樹くんはチビひなたに向かってベッと舌を出して「いやだね」と意地悪く言った。
その言葉にチビひなたは顔を真っ赤にして怒り、樹くんの足にキックをする。
相当痛かったらしく、樹くんはソファーへとそっと私をおろし足を押さえた。
「陽向…父親に暴力をふるとは…」
「うるさい。だってデカひなた嫌がってんじゃん」
いや、嫌がっていた訳ではないが…。
直ぐにチビひなたはソファーに上がってきて、私の膝へとちょこんと座る。
大きな瞳を揺らして私を見上げる。その姿が余りにも可愛らしくって、思わずぎゅーっと抱きしめると満足そうに私の胸へと体を預けた。
「ひなた」
「え?!何?」
「一緒に暮らすのは許す。僕も嬉しいから、お前が居た方が。
だけど後11年待ってくれ。11年後僕は18歳になる」



