「今日はチビひなたの好きなカレーを作ってあげるよ?
お菓子も好きなだけ買ってあげる!DVDも借りに行こう」
ありとあらゆるご機嫌取りをしてみても、頭の良いこの子にはバレバレだったようだ。
「僕はもう子供じゃない!そんな物に釣られない!」
「7歳が何を生意気言ってんのよ!」
ついつい釣られて言い返してしまう私もよっぽど子供だとは思うが。
言い合いをしながらも八代台タワービルまで続く道のりを二人で歩く。
言い訳をつらつらと並べる私はまるで別れたくなくて彼氏にすがりつく彼女そのもので、でもこれは傍から見れば怪しい女がいたいけな小学生に付きまとっている様にしか見えないだろう。
「チビひなた…本当にごめんって。お願いだから機嫌直してよ。
もうすぐクリスマスだよ?ほーら、あそこに大きなクリスマスツリーもある。綺麗だねー、チビひなたはサンタさんにお願いした?」
八代台オフィスビルが入っている都会の街には、毎年大きなクリスマスツリーが街を彩る。
私やチビひなたよりも何倍も大きなそのツリーは、毎年テレビでも話題になる程の立派な物でカップルや家族連れがこぞってそれを見に来る。
今年のクリスマスは、樹くんとチビひなたと一緒に過ごしたい。料理は未だに上手じゃないけれど、頑張るつもり。 チビひなたが喜んでくれそうな、大好きなアニメのキャラクターのケーキも手作りしようと思っていた。
だから、だから、私にもう一度チャンスを…!



