【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー


そして本日小学校前で張り込み。ジョージさんに仕事の休みは貰った。

冬用のブラウンのコートに身を包んだチビひなたは私の顔を見るなり、顔をしかめた。その顔さえも樹くんにそっくりで参る。

まるで出会ったばかりの頃に私へ向けた迷惑そうな顔そのものだ。


あああ、なんて可愛い。今すぐに抱きしめたい。今ほんの少しだけ犯罪者の気持ちが分かる。このままさらってしまいたい。

数週間ぶりに会うチビひなた。こんなに愛しくなってしまうなんて。

「こんにちは」

にこりと微笑みを作って言うと、口を曲げて無視をする。

すたすたと前を歩いて行ってしまう。 それを追いかけるようについていく私は、不審者そのものか。

「チビひなた!」

「ついてくるな!お前と話す事なんてない!」

これじゃあ別れ際のカップルの会話そのものではないか。

「そんな事言わずに~~ 今日は一緒に帰ろう?そうだ!今日はお父さん仕事早く終わるって言ってたよ!
一緒に会社まで迎えに行こう!」

ぴたりと足を止めて、大きな目を細めながら私を見上げる。 そんな親の仇みたいに見ないでよッ!

「しょうこりもなくまだお父さんと連絡を取ってるのか?」

だって…恋人だもん!本当にこの子私の事好きなの?!好きな子にこんな言い方するか?普通。