手足をバタバタさせて梯子に跨り、何とか落ちずに済んだ。 ジョージさんが少し苦笑しながらふーっと小さなため息を吐く。

「あぶな。私ったら本当にドジで~…」

「ひなたちゃんは元気いっぱいで、可愛らしくって一緒に仕事をしてると私も元気が出るよ。
うちの息子の嫁にしたい位だ」

ゆっくりと梯子を降りて、汚れた雑巾をぽいっとバケツへ投げる。

「ジョージさん息子さんが居るんだっけ?」

「おお。うちの息子も中々男前だぞ。」

「そうなの~?!私イケメンってだ~い好き!
ジョージさんかっこいいもんね。息子さんもイケメンなの納得だよーッ」

ジョージさんはとても若々しく、どこかオーラがある人だった。 あんまり清掃員では居ないタイプの。

でも物腰はとても柔らかくって、話しやすい。 きっと若い頃は相当モテたんではないだろうか。私のイケメンレーダーがそう言っている。

「息子も居るが、可愛らしい孫も居る。」

「そうなの?!つか、息子さん結婚してるんじゃんかー。不倫は無理ッ。そういうの我慢出来るキャラじゃないからねぇ。」

「あっはっはっ、不倫か…。
因みに孫の名は’ひなた’と言うんだ。
だから私は益々ひなたちゃんがお気に入りでなぁ。」

「えぇーッジョージさんもうおじいちゃんなんだ?!しかも’ひなた’?同じ名前じゃん。
何か嬉しくなるッ」

「そうそう。陽に向うで陽向(ヒナタ)。男の子なんだけどやっぱり孫は可愛いもんだ」