こーれーはー現実でーすーかー?


私は現在都内の高級ホテルのスイートルームのベッドの中、大好きだった人の胸の中にいます…!

夢?現実?何度もほっぺたをぎゅっとつねって見るけれど、どうやらこれは夢ではなく現実みたい。


’君を俺だけの物にしたい。
…ひなた。君が好きだ――’


昨夜言われた言葉。何故録音しておかなかったのだろう…。何度でも聴き返したい言葉だった。

そして彼はバスルームで私を激しく抱いて、ベッドルームにお姫様抱っこで連れて行かれたと思えばそこでも優しく優しく私を…

ニヤニヤが止まらない。夢見がちな私はこんな奇跡にずっと憧れていたんだけど、実際それを体現してみると今でも信じられない。


けれど…横で目を瞑って安らかな寝息を立てる端正な顔立ち。嘘じゃない。こんな奇跡は…。
携帯を向けて無音カメラでその寝顔を撮影。ストーカ気質が直った訳ではない。

しかし目を閉じ長い睫毛が揺れる。そこからツーっと涙が流れたのを見てびっくりした。 …もしかして樹くん、怖い夢を見ている?!思わずぎゅっと強く抱きしめる。

私の胸の中、苦しそうに息を吐く。そしてぱちりと大きな目を開けた。