――「ねぇ、樹。聞いて、今日陽向がママって」

「悪いけれど仕事で疲れているんだ。
ご飯はいらない。風呂に入って休む」

「そう…。そうよね、ごめんなさい。疲れているのに」


――「樹、今度陽向の幼稚園でお遊戯会があるみたいなの!
お義父様もいらっしゃるって言ってて、陽向もお父さんに見て欲しいって張り切っているの!」

「俺は陽向のそういった行事には一切参加しないと言ってあるだろう?
陽向の事がバレたら雑誌社に何を書かれるか分かったもんじゃない」

「ごめんなさい。私ったら、あなたの立場も考えずに」

――「うわあああん、ああん、うわあああん」

「陽向、どうしたの?どこか痛いの?」

「お母さぁん…」

「大丈夫、大丈夫。陽向、お母さんここにいるからね」

「君は陽向を甘やかしすぎじゃないか?
君が甘やかしてばかりいるから、陽向が我儘になるんだ」

「ごめんなさい、ごめんなさい…私」