「…本来であるならもっとスマートに…マーメイドでゆっくりしてから予約していたここに来ようと思った。
けれど君が他の男に胸を触らせているのを見てついつい自分を見失ってしまった」

樹くんはずっと優しい顔をしていた。
濡れた手で、私の頬にそっと触れる。それは大切な物を扱う様で

そんな事されたらまたおめでたい勘違いをしてしまいそうになる。  だって私は元々ポジティブで、自分の都合の良い解釈をするのは得意な方で…。

もしかして嫉妬してくれていたなんて…。

頬に手を置いた樹くんは、私へと深い深いキスを落とした。
それは瞬きも忘れてしまう程の衝撃だった。 ゆっくりと樹くんの手が私の体へと触れる。

「ん…ッ」

「性欲を発散させる…そんな存在だとは思っていない…」

「いつ…き…くん?」

「君を俺だけの物にしたい。
…ひなた。君が好きだ――」

窓の外では東京タワーときらきらと散りばめられた宝石箱のような夜。
大好きだった人に抱かれて、世界はがらりと姿を変えていく。

夢のような甘い奇跡が降り注ぐ夜に、あなたのキスと柔らかい快感の中で酔わされていく。

やっぱり愛は地球を救う。あれは本当だよ。 だってこんなにも胸の中にはあなたへの愛で溢れている。