「だって…恥ずかしいし…」
「いつもは君から誘ってくるじゃないか!」
「それは~~~~!!だって樹くんが私を相手にしないのは分かってるし!」
すると、樹くんは再び私を抱きしめて胸に顔を埋めて来る。
それはチビひなたと同じだ。 チビひなたもお風呂の中ではベタベタと私の体を触ってきて、抱きしめる。そして甘える。…でもこれは、そういうのじゃない。
同じ行為でも大人と子供がするのでは、訳が違う。
「樹くんッ!」
「陽向は狡い…。子供という特権を大いに利用していつだって君とこんな事をして」
「こんな事って!子供にはやましい気持ちはありませんから!」
「そんなの、知ってる。ただただ陽向が君に甘えているの位。
でも…俺だって君が家に居る時ずっと我慢していた。陽向の手前…。
俺だって…君にずっとこういう事をしたかった…」
え、それって。
私の胸に顔を埋める樹くんの目はどこか切なかった。
そして頬をちょっぴり赤らめる。
ぎゅっと強く樹くんの体を抱きしめ返すと、途端に彼は驚いた表情を浮かべて口を開けた。