「樹くんはすっごく優しい人だよ?」

「すっごく’優しい’人が女をやり捨てするもんか。
しかもお金に物を言わせてその夜を無かった事にしてくれって最低男でしかないじゃん…」

かおるちゃんはキツイ性格だけど、実はとっても優しくて真面目な女の子。現実的で正しい事しか言わないから、正反対の私とどうして仲良くしてくれるかは不明。

だけど私にとって東京では数少ない友達の1人で、とっても懐いている(私が、勝手に)

「余計な事しなければ良かった」

ぼそりと呟いたかおるちゃんに対して「何でぇー?!」と大きな声で言ったら迷惑そうに耳を両手で塞ぐ。

「あんたの為に前坂社長に頼み込んで小鳥遊樹をマーメイドに呼んだのを後悔してるって言ってるのよ…
つかうるさいあんた。ただでさえ声のボリューム大きめなんだから…」

「えぇー?!私はすっごく嬉しかったよぉ?!前坂社長には感謝だし
勿論かおるちゃんにだって超感謝!
あ。私バイトの休憩時間終わっちゃう!
じゃあ、かおるちゃんまた夜に会おう!」

そう言って立ち上がると、かおるちゃんは「パンケーキは?!」と叫んだ。

「パンケーキは、樹くんと繋げてくれたお礼!
ゆっくり食べて行ってねッ」

「はぁー?!ダイエット中って言ってるでしょうー?!あんたが食べたいって言ったんじゃん!」