夢のような時間を過ごした。
まさかまた樹くんのお家にお邪魔する事が出来るなんて。
そしてあの一件以来、彼のラインの返信の数が増えた。気のせいではない。明らかに増えた。

『今お料理の練習をしていますッ。とはいってもうちは炊飯器もないんですけどね』
『君はドジだから余り料理はしない方がいい。』
『でもチビひなたはお父さんのカレーより私のカレーが好きだって。じゃがいもも大きいですし』
『不器用だから食材も小さく切れないだけだろう。…まぁ俺も君の激甘のカレーは嫌いではない。』

これって、これってまるでカップルのやり取りのようではないですか?
ニヤニヤが止まらない。

仕事も朝から捗って、掃除カートはガラスに激突してしまうし、バケツは2回ひっくり返した。
清掃中プレートを出しておくのを忘れて、男性のトイレでイケメン風スーツ姿の男性と遭遇もした。

そしてもう一つ。

「ひなたちゃん、何か嬉しそうだね」

「あ、ジョージさん分かりますぅ?
実は例の片思いの彼と…ちょっぴーり仲良くなっちゃって」

「それはそれは楽しそうだね。」

「ジョージさんこそ最近見なかったなぁーと思ったら旅行に行ってらしたんですね。
お土産のお菓子貰いましたよ~ッありがとうございます」