まあ、こうなる事は予想していた。

大学まで付属の某有名学校初等部。
クリーム色を基調とした外観は偉く立派で、どことなく威厳がある。

校門までは青々と茂る木々たちがアーチ状になっており、彫刻彫りの学校名の上で何やら偉人の銅像が誇らしげに立っている。

「ID証明書が発行されていない方は学園の中に入れる事は出来ません」

警備員のような人に受付でぴしゃりと言われてしまった。
ID?
証明書?

何それ。そんなの持っていない。 当たり前の当たり前なのだが、有名私立の小学校。セキュリティーも万全らしい。

私の田舎の学校じゃあ、よく知らん人も校内に自由に行き来が出来たし、参観日や行事のある時は校門を開放していた。

田舎と都会の違い。昨今は物騒だから当たり前かもしれないが。

「けれど…!私知り合いなんです!2年生の小鳥遊 陽向です!
友達なんです…!も、勿論父親とも知り合いですし」

しどろもどろ説明をする私に対し、警備員は訝し気な瞳を向ける。 ひぇ!絶対怪しい人だと思われてるよ。

「申し訳ございません。IDを発行されていません保護者の方は校内へお入れする事は出来ません。
お引き取り願います。」

「ですがッ!」